シャトー・ラ・ガフリエールがサンテミリオン格付けから脱退を発表 その理由とは

ボルドー、サンテミリオンでは2022年9月8日に新たな格付けが公式に発表となる。10年に1回の格付け見直しだが、既に審査は終わっており、シャトーによっては通知が届いているようだ。プルミエ・サンテミリオン・グラン・クリュ・クラッセB に所属するシャトー・ラ・ガフリエールが9月8日の格付け発表を待たず、5月31日に脱退を宣言した。

シャトー・ラ・ガフリエール 2015
画像引用:chateau la Gaffeliere

シャトー・ラ・ガフリエール Château La Gaffelière は、サンテミリオン市近くに22haのブドウ畑を所有。現当主Alexandre de Malet Roquefort まで300年に渡って同族経営のシャトー。シャトー・マグドレーヌを吸収したシャトー・ベレール・モナンジュに隣接し、シャトー・オーゾンヌも近い。サンテミリオン屈指の立地を持つシャトーと言える。そして1958年秋に初めてサンテミリオンに格付けがなされて以降、常にプルミエ・サンテミリオン・グランクリュクラッセB の位置にいた。今回この格付け脱退の理由だが、ワイン試飲の点数に納得がいかなかったようだ。2022年のサンテミリオン格付けは、配点に変更がなされ、評価の半分をブラインド・テイスティングが占める。プルミエ・サンテミリオン・グランクリュクラッセの場合、直近15ミレジムが対象で、10年以上の経験のあるプロフェッショナル達が試飲にあたる。これに対してシャトー・ラガフリエール側は、「(プロフェッショナルのレベルにない)アマチュア・レベルの人達によって試飲がなされた。試飲の結果を見ると、過去20年で最も難しい年だった2013年のワインを、良作年だった2018年や2019年のワインよりも高く評価している。これはシャトー・ラ・ガフリエールを近年試飲してきた真にプロフェッショナルなテイスター達の評価の逆であり、話にならない。」と語っている。

これに対して、サンテミリオン生産者組合の長にあたる Jean-François Galhaudは、「ワインの試飲は30~40人のプロフェッショナルによって行われている。その人数で間違いは起こらない。」と格付けを行ったINAOを支持。「試飲の点数が格付け維持に必要なレベルに達しなかったことで、シャトー・ラ・ガフリエールが落胆していることは理解できる。しかし、昔は格下げになっても格付け脱退というような道を選ばなかったはずだ。サンテミリオンではライバルとの競争があり、品質向上のためにブドウ畑や醸造所で出来ることがまだあるはず。」と発言している。

サンテミリオンの格付けは2006年以降大きな問題を抱えている。2006年の格付けがボルドーの行政裁判所で取り消されて以降、15年も裁判が続いた。そして2021年には、シャトー・アンジュリュスの共同所有者ユベール・ド・ブアールが執行猶予付きの有罪判決を受けた。格付けの大幅なイメージ低下で、シャトー・オーゾンヌとシャトー・シュバルブランが2021年7月、シャトー・アンジュリュスが2022年1月に格付けから脱退した。そして今回著名な生産者であるシャトー・ラ・ガフリエールが脱退したことで、サンテミリオン格付けの価値がさらに落ちることは確実だ。

2006年と2012年のサンテミリオン格付け後、その内容に納得いかないシャトー達が裁判を起こしたが、シャトー・ラ・ガフリエールは裁判を起こさないようだ。「ラ・ガフリエールの地は古代ローマ時代以来1600年の歴史があり、著名な場所だ。その価値の重みが分からない人達を相手に裁判する気はない。」という。

情報ソース:France Bleu  Teres et Vins  Vitisphere

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