フランス、ボルドー、サンテステフにある格付け2級のシャトー・コス・デストゥルネル Château Cos d’Estournelが、隣にある格付け5級のシャトー・コス・ラボリ Château Cos Laboryを買収した。2023年3月正式発表。RVF誌がこれを報じている。
約18haのシャトー コス ラボリはこれまで Bernard Audoyとその一族の所有・経営だった。彼らは隣のシャトー アンドロン ブランケ Château Andron Blanquet(約16ha所有)も所有していた。今回両シャトー計34haがミッシェル・レイビエ Michel Reybier率いるシャトー コス デストゥルネルに買収された。
シャトー・コス・デストゥルネル Château Cos d’Estournelとシャトー・コス・ラボリ Château Cos Laboryは、19世紀中盤に同じ所有者だった時代がある。今回約140年振りに同じ所有者となる。
「Cos」という名称はこの辺りの地名「Caux」からきており、「colline de cailloux(砂利の丘)」を 意味する。実際ブドウ畑は小石、砂利が非常に多い。「Labory」や「d’Estournel」は19世紀の所有者名。「場所の名前」+「所有者の名前」というボルドーでよく見かけるシャトー名の付け方だ。今回の買収で、ミッシェル・レイビエ達はこのサンテステフ南端で重要な3シャトーのオーナーとなり、大きな存在感を持つことになる。
シャトー・コス・ラボリは1990年代から品質の向上が見られたが、シャトー・アンドロン・ブランケは同じ資本・経営ながら品質の向上は見られないままだった。2003年にクリュ・ブルジョワ格付けされたものの、その後クリュブルジョワの格付けから外れている。隣が格付けシャトーの畑でポテンシャルが高いにも関わらず、長年放置された状態だった。今回ミッシェル・レイビエ率いるシャトー コス デストゥネルが両シャトーを買収したことで、飛躍的に品質が上がる可能性がある。もちろん、ワインの価格も上がるだろう。
2023年3月10日追記
上記の記事は2023年3月3日付けのRVF誌の記事から作成したが、3月10日のTerre de Vins誌の記事では、「まだ最終的な売買契約のサインには至っていない。他の買収候補者もいる。」とのこと。確報までもうしばらく時間がかかるようだ。いずれにせよ、後継者がいないので、シャトー・コスラボリの所有者が変わることは確定している。
2023年3月23日追記
上記の記事通り、ミッシェル・レイビエ 率いるシャトー コス デストゥルネルによる買収が確定の報。シャトー・コスラボリは5級のシャトーとして存続する。一部でシャトー・コス デストゥルネルがシャトー・コスラボリを丸々吸収し、シャトー・コスラボリが完全に消滅する噂が流れていたが、これは否定された。
出典:RVF , Terre de Vins , Figaro