ブルゴーニュに新たな1級畑登場 プイィヴァンゼルとプイィロシェ

ブルゴーニュ地方の2つAOC、プイィヴァンゼルとプイィロシェで合計4つのプルミエ クリュ 1級畑が認定された。2024年ミレジムからエチケット上に表記可能となる。

プイィロシェ Pouilly-Lochéとプイィヴァンゼル Pouilly-Vinzellesの共同組合ロゴ
画像引用:ODG

プイィ・ヴァンゼル Pouilly-Vinzellesとは

AOC プイィヴァンゼル Pouilly-Vinzellesは、フランス、ブルゴーニュ地方南端、シャロンシュルソーヌ県のVinzelles ヴァンゼル村のブドウ畑からつくられたワイン。ワイン産地としてはマコン Mâconに分類され、実際マコン市に隣接している。1940年制定のAOCで、辛口白ワインのみ。ブドウ品種はシャルドネのみ。AOCプイィ・ヴァンゼル全体で52haしかブドウ畑がなく、フランス国内でも見かけることは少ない。地元ヴァンゼルの協同組合の存在が未だに大きいが、ドメーヌ ド ラ スフランディエール Domaine de la Soufrandière (ブレット ブラザーズ Bret Brothers)の躍進がこのAOCを世界に知らしめた

今回プルミエクリュに昇格した3つのブドウ畑は下記の通り

Les Longeays レ ロンジェイ (7,50 ha)
Les Pétaux レ ペトー (2,76 ha)
Les Quarts レ カール
(12,45 ha)

3つのプルミエクリュ合計で22.71haとなり、AOCプイィヴァンゼル全体の44%を占める。

プイィ・ロシェ Pouilly-Lochéとは

プイィロシェ Pouilly-Lochéとは、フランス、ブルゴーニュ地方南端、シャロンシュルソーヌ県の旧Loché ロシェ村のブドウ畑からつくられたワイン(Loché ロシェ村は、1972年隣接するマコン市に吸収され消滅)。ワイン産地としてはマコン Mâconに分類。1940年に制定のAOCで、辛口白ワインのみ。ブドウ品種はシャルドネのみ。AOC プイィ・ロシェ全体で32haしかブドウ畑がなく、フランス国内でも見かけることは少ない。隣接するヴァンゼルの協同組合の存在が大きいが、オリヴィエ・ジル― Olivier Girouxのドメーヌ クロ デ ロック Domaine Clos des Rocsや、セリーヌ エ ローラン トリポ Céline et Laurent Tripozが地元の有名な生産者だ。

今回プルミエクリュに昇格したブドウ畑は下記の通り

Les Mûres レ ミュール (7,09 ha)

ドメーヌ クロ デ ロック Domaine Clos des Rocsの単独所有畑 Clos des Rocsは、このLes Mûres レ ミュール の中に含まれる。

解説

この2つのAOCは南北に隣接しているが、その西隣に、AOCプイィ フュイッセ Pouilly-Fuisséがあり、750ha以上の畑を持つ。実際、知名度も流通量も圧倒的にAOCプイィ フュイッセの方が大きい。そのプイィ フュッセの一部の畑が2020年ミレジムからプルミエクリュに昇格している。プイィ・ヴァンゼルとプイィ・ロシェの2つのAOC共に東向きの傾斜面を持ち、いくつかの畑が高い品質で知られていたので、今回のプルミエクリュ昇格は予想通りの展開だ。プイィヴァンゼルとプイィロシェ生産者組合は2006年からこのプルミエクリュ昇格の作業を行い、2024年まで約18年をかけている。

驚いたのは、プルミエクリュを名乗るための規定が厳しいことだ。最大収量が58hl/haというのはプイィフュイッセ・プルミエクリュの56hl/haとほぼ同じ水準だが、「除草剤禁止と手収穫が義務」という品質への規定がある。機械収穫による大量生産のワインが多いマコンで、この規定が本当に成立するのか疑問視する向きもあったが、しっかりと盛り込まれた。これはブルゴーニュのプルミエクリュの規定では初めてとなる

今後、同じマコンのAOC サンヴェランでも1級畑 プルミエ・クリュが認可される予定。こちらはもう少し時間がかかりそうだ。

2024年12月3日記

資料:BIVB

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