
フォアグラは、鴨や鵞鳥(がちょう)に多量の給餌を行うことで肥大させた肝臓のこと。フランス料理を代表する高級食材です。生産量・消費量ともに世界一を誇るのはフランスで、同国の食文化に深く根付いています。詳細は下記のHPをご覧ください。
現在、フォアグラは鴨とガチョウからのみ生産されており、フランス産の99%は鴨のフォアグラが占めています。しかし、歴史を遡るとガチョウのフォアグラが主流であった時代もありました。ガチョウのフォアグラは鴨よりも30~50%高価ですが、それでも生産が減少した背景には、「ガチョウでは生産効率が悪く利益が少ない」という経済的な理由が関係しています。
1) ガチョウの方が病気にかかりやすく、品質的にも安定しない。ガチョウのフォアグラは、最終品質検査で商品化ができない場合がある。
2) ガチョウの方が飼育期間が長く、途中で病気になるリスクが増す。ガチョウは16週、鴨は12週でガヴァージュ(強制給仕)に入る。
3) 鴨の方がガチョウより若い時から卵を産み、その数もかなり多い。
4) 鴨の方が体が小さく、狭い空間で飼育可能。同じ面積なら、鴨の方が沢山飼うことができる。
こういった理由でガチョウのフォアグラは生産量が減少し、鴨のフォアグラにとって代わられました。
消費者の嗜好が変化したことも、ガチョウのフォアグラの生産量減少に影響を与えています。同一生産者による比較では、ガチョウのフォアグラは軽やかで繊細な味わいが魅力ですが、鴨のフォアグラは濃厚で力強い風味を持つため、多くの人々により親しまれています。この濃厚な味わいに慣れてしまうと、ガチョウのフォアグラを軽く感じる傾向があるようです。それでも、ガチョウのフォアグラにこだわり続ける生産者や愛好家がフランスにいることも事実です。
